判例の研究(3)
平成5年(行コ)第27号
寡夫控除と寡婦控除とでその適用に差異があるのは憲法一四条一項(法の下の平等)に反するとの納税者の主張に対し、所得税法が総所得金額が基礎控除の額に相当する金額以下の扶養親族等がいる場合にのみ寡夫控除を認めたのは、寡夫と寡婦との間の租税負担能力の違い、その他の諸事情を考慮した結果と考えられるから、立法府がその裁量の範囲を逸脱し、この区別が著しく不合理であるとは言えず、憲法一四条一項に反しない。
これに対して原告は上告する。
上告理由を抜粋
昭和五六年の税制改正によって制定された寡夫控除は一二年余の年月を経過し、又、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等の法律(※)も制定された今日、租税の負担能力は同額の所得であれば寡婦と寡夫の間に差異はなく、あるのは所得額の多少と扶養する子などの人数のみである。したがって現行法の矛盾を認めない原判決は該当憲法条文の解釈を曲解している。
しかし最高裁(上告審)は棄却する判決をだしている。
最高裁判所第三小法廷
平成6年9月13日
平成6年(行ツ)第89号
※男女雇用機会均等法(昭和61年4月施行)
続きます