フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



憲法14条1項適合性の判断基準について

今回の訴訟では、所得税法寡夫要件が、憲法14条1項について合憲か違憲か争うことになります。

その判断基準としては最高裁が次のように言っていて、これが標準的な解釈となっています。

憲法14条1項は,法の下の平等を定めており,この規定が,事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り,法的な差別的取扱いを禁止する趣旨のものであると解すべきことは,当裁判所の判例とするところである」

つまり、差別するなら合理的な理由が必要、となります。

以前取り上げた福岡の判例では、この判断基準に従っていないことがわかります。なぜでしょう?

裁判になったいきさつや、被告となったのは税務署員ということ、他にも給与控除についても争っていることから、私は次のように考えています。

 

まず原告は自営業です。原告は確定申告の際に、自営業には認められていない給与控除を自分で適用しています。更に要件を満たしていない寡夫控除もつけて納税額を低くしました。当然税務署は修正するように指導しますが、従いません。払っていない税金については督促しています。そこで原告は裁判を起こしています。

裁判所は憲法14条1項適合性の判断基準に照らし合わせた判断をしていません。差別があることも認めていますし、著しく不合理とはいえないと言っているのですから、程度は小さいが不合理な差別があることを認めているといってもいいと思います。しかし、行政の裁量の範疇であると、一蹴しています。

結局、税の徴収トラブル対応として、税務署員の円滑な職務遂行を後押しする。そういう側面をもった判決だったのではないでしょうか?だから厳格に14条1項の判断基準に沿わなかったのだと、私は考えています。

 

今回の裁判では、純粋に憲法14条1項の適合性を追及します。所得税法寡夫要件差別に合理的な理由があるかないか、それが今回の争点です。