被告の立場になってみる
どこのお役人さんがいらっしゃるのかわかりませんが、もう訴状は受け取っているはずですし、答弁書を書いたり、口頭弁論の準備をしていると思います。勿論、私の訴えを棄却してもらうつもりでしょう。
彼らは、寡夫控除要件の差別が合理的であることを示さなければなりません。これは大変だと思います。
判例から持ってくるとするなら、男女によって租税負担能力が違うから、ということになりますが、例えば同じ年収1000万円の母子家庭と父子家庭で租税負担能力が違う理由なんてありませんから、持ち出しにくいと思います。(これを持ち出してきたら論破できるような気がします。)
昔なら、女性は独身で子無しという求人条件があり、男性社員の花嫁候補を募集するなどということがありましたが、今は男女雇用機会均等法で禁止されていますから、理由になりません。
政府税調で必要性を指摘されながら、改正してこなかった理由ならば簡単に想像できます。
男女平等を目的にして法改正するとしたら2パターン考えられます。
ひとつは寡婦控除要件を寡夫控除に合わせることです。これは平成17年の論叢「所得控除の今日的意義 」で言及されています。しかしこれが実現されれば母子家庭の負担が重くなります。女性の権利保護を主張するような団体から確実に反対されるでしょう。そうなると選挙に影響しかねません。
もうひとつは寡夫控除要件を寡婦控除に合わせることです。しかしこれをやると何億円も税収が減ります。その分の財源が必要となり、積極的に法改正しようとはなりません。もちろんこれは合理的な差別理由にはなりません。
税収が減るような改正をするには、違憲判決のような強い外圧が必要です。
もしかしたら政府はこういう訴訟が起きるのを待っている!
なんて事はないですね、きっと。