フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



寡婦控除は、戦争未亡人控除なのか?(上)

未婚(非婚)のひとり親世帯に対して寡婦控除(寡夫控除)を適用する方向に向けていろいろ動き出しています。厚生労働省が改正に向けて働きかけているようです。

 

それは賛成なんですが、ブログ記事や新聞の記事に書かれている「寡婦控除は戦争未亡人の救済のために創設された」という話が、どうも腑に落ちません。

 

昭和47年の国会議事録に、そんな話がでているというのですが、寡婦控除創設は昭和26年です。創設当初の議事録はないのでしょうか?

 

私が腑に落ちないのは、戦争未亡人という言葉に違和感を感じるのと、疑問がたくさんあるからです。

 

「戦争未亡人の定義は何?」

「本当に戦争未亡人だけを対象にしたものなの?」

「戦死だけ?徴用中の事故や、空襲で旦那さんが死んだ場合はどうなるの?」

「徴兵されたけど、病死の場合は?」

「旦那さんが戦時下で栄養失調などで亡くなった民間人でも、戦争未亡人?」

「生死不明だとどうなるの?その場合、軍人と民間人では違うの?」

「最初は離別者や他の死別が対象でなかったのなら、いったいいつから認められるようになったの?」

「軍人恩給のある遺族より、他の死別や離別の女性のほうが苦しいんじゃないの?」

 

国立国会図書館で全部の法令が公開されています。今はインターネットで閲覧することができるのが嬉しいですね。これで創設当時の法律を知ることができます。

 

所得税法の一部を改正する法律 昭和二十六年 法律第六十三号ってのが寡婦控除創設当時の条文です。

 

 

この法律において老年者とは、年齢六十五歳以上の者をいう。

この法律において寡婦とは、左に掲げる者で、扶養親族を有し、且つ、老年者でない者をいう。

一 夫と死別し又は離婚した後婚姻をしていない者

二 夫の生死が明らかでない者

 

 

おやおや、戦争による死別に限ってはいないですね。創設当初から、離別も認められています。

きっかけは戦争未亡人の救済なのかもしれませんが、最初から戦争未亡人に限った救済ではない事がはっきりしました。

 

では、なぜ「最初は戦争未亡人のための制度だった」なんて話が拡散しているのでしょうか?

 

戦争未亡人って言葉にはインパクトがあります。たぶん、戦争未亡人って言葉を出すと、法律の古さをアピールできます。もう時代にあっていないんだよと、いうことが導かれます。あるいは、戦争未亡人以外にも、次々に対応されてきて、あとは未婚の寡婦だけだから、早く対応しないとねっ印象を持たせることができます。そんなところでしょうか。

 

でも、実際のところ、自分の感じている違和感は、「戦争未亡人のための救済制度を、父子家庭に展開してもらうように要望するのはスジが通らないんでは?」と感じる居心地の悪さでした。

 

だから、最初から離別も含まれていて戦争未亡人のための救済制度でなかったことに、ちょっと安心しています。

 

それにしても、いったい誰が寡婦控除は戦争未亡人のための制度だといいだしたのでしょう?それを調べていたら、面白いことがわかってきました。

 

長いので、一旦切ります。続きは明日、UPします。