フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



寡婦控除は、戦争未亡人控除なのか?追記

前2つの記事で、私の寡婦控除創設時の立法目的の考えを述べました。

法ができるきっかけとしては、戦争未亡人の救済という考えがあったのだと思いますが、創設時には、離婚でも戦死以外の死別でも、65歳未満で扶養家族がいれば適用されたわけですから、戦争未亡人のために限った制度ではないだろう、というのが私の考えです。

 

今ある「寡婦控除は戦争未亡人のためにできた説」は、おそらくこちらの論文から引用されているのだと考えられます。

立命館法政論集 2008年第6号

「寡婦」控除規定から見る非婚母子世帯への差別 

執筆者の西本さんは寡婦控除が戦争未亡人のためにできたとするソースは、昭和47年の国会議事録として注釈をつけています。ここででてくる主税局長の言葉は、寡婦控除改正のためのつじつま合わせだというのが私の考えで、昨日のブログ記事にしたとおりです。

ちょっとだけ西本さんの論文を一部引用します。

『本節ではさらに、寡婦控除がその適用範囲を限定しているがゆえに問題を引き起こす結果となったことを踏まえて,寡婦控除創設時に適用範囲を戦争未亡人(=婚姻届提出経験者)に限定するに至った理由を,(当時の創設背景に関する資料が得られなかったことから)独自の見解に基づく「仮説」として展開していく。』原文ママ

 

これ、これ。

ここを読んだら、「最初は旦那さんが戦死した人だけの制度だったんだぁ」って思いませんか?括弧書きのイコールが結びつかないですよね。

この論文は、いろんなところで寡婦控除の創設目的部分を引用されているので、読まれた方は、誤解する可能性がありますね。

 

まぁ、でも、寡婦控除の創設目的が戦争未亡人の救済だったかどうかなんてのは、今となっては論争になることではありません。大事なのは法のほうで、時代にあわせて改善していけばいいのです。

 

 

今回は、ちょっと新しい気付きがあったので面白くなり、3回に渡り語ってしまいました。

物事をいろんな角度から見るってのは、楽しいですね。

でも、別に自分の考えを押し付けるつもりはないですし、訂正を求めるつもりもないですよ。世の中、いろんな考えがあるものですから。I'm OK. You are OK.です。