あるシングルファザーの裁判日誌

寡夫控除は不公平だとして行政訴訟を起こしたシングルファザーのブログ



控訴理由書(5)

高裁に提出した控訴理由書です。全部で6章あります。今日は5章をUPします。

ここは、わかりにくいかも。

 

 

第5 原審に記された本件区別の目的と手段の関連性について

 

(1)前述したとおり所得500万円を超えるひとり親世帯の父母には,租税負担能力の差異がないことが明らかであるが,ここでは,原審で示された本件区別の立法目的と手段には,合理的関連性がないことを明らかにする。

(2)原審9頁では本件区別の目的と手段について,「そして,寡夫につき,寡婦にはない所得要件を儲け,前年の合計所得金額が500万円を超える場合には寡夫に該当せず,所得控除を認めないこととしたのは,父子世帯の父親の場合は,寡婦(母子世帯の母親)とは異なり,通常は父子世帯となる前に既に職業を有しており,父子世帯となった後も引き続き事業を継続したり,勤務を継続したりするのが普通と認められ,また,高額の収入を得ている者も多い等,男性と女性の間に存在する租税負担能力の違いや生活関係の差異等を考慮したものと解されるから,寡夫につき,寡婦にはない所得要件を設けた立法目的は正当なものといえる。」としている。

(3)しかし,母子世帯全体が父子世帯全体よりも就業が不安定で低収入であるとし,それを考慮するのが目的とするならば,父子世帯に所得要件を設けるという手段では,低収入の母子世帯を優遇する効果がなく,目的と手段との間に合理的関連性が認められない。文中の寡婦(母子世帯の母親)は,あたかも無職や低収入のようであるが,父子世帯に所得要件を設けられていること,つまり母子世帯には所得要件が設けられていないことによって優遇されるのは,高所得でありながら寡婦控除が適用される母子世帯の母親のほうだからである。

(4)そもそも所得要件という手段は,その要件によって適用される者と除外される者を区別して異なる扱いをするためであり,寡夫控除の所得要件は,父子世帯の父親を,所得500万円を境にして区別して扱うためのものである。そして,その区別によって,支援の適用を制限することの効果は,寡夫控除制度に伴う税収減の影響を小さくするものであり,母子世帯には無関係である。低所得の母子世帯の母親を考慮するのが立法目的ならば,父子世帯の父親にだけに所得要件を設けるという手段では,低所得の母子世帯の母親をなんら優遇する効果がなく,目的を達することができないのである。

(5)このように,父子世帯に所得要件を設けることでは,男性と女性の間に存在する租税負担能力の違い等を考慮したことにならないのであるから,父子世帯にのみ所得要件を設けた本件区別の立法目的が,「男性と女性の間に存在する租税負担能力の違い等を考慮したもの」というのは,適切ではないのが明らかである。