フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



被控訴人準備書面(3)

被控訴人から頂いた準備書面を公開します。第1第2は議事録などの転載なので省略します。

 

被控訴人  準  備  書  面 (3)

 

平成31年2月7日

              

第1 寡夫控除に所得制限を設けた理由

 1 国会での審議経過

省略

2 解説書の記載

省略

 

第2 寡夫控除の所得制限を前年の合計金額300万円超(平成2年地方税法改正後は500万円超)とした理由

省略

 

第3 被控訴人の主張のまとめ

1 以上のとおり,寡夫控除の所得要件は,寡夫寡婦との租税負担能力の違いや生活関係の差異等を考慮したものであり,「男性と女性の間に存在する租税負担能力の違いや生活関係の差異等を考慮したものと解されるから,寡夫につき,寡婦にはない所得要件を設けた立法目的は正当なものといえる。」とした原判決は正当である。

2 また,上記のとおり寡夫控除は,社会保障的観点から,寡婦において認められる措置を,必要な範囲で男性に及ぼそうとしたものということができる。そして,ここにいう「必要な範囲」とは,我が国における厳しい財政的影響を考慮しつつ,平均的なサラリーマンの寡夫について,当該措置を受けることができるようにすることであると解される。そして,平成22年における父子世帯の平均収入が380万円,その中央値が323万円とされていることからすれば(乙3),給与収入約700万円に相当する所得500万円までの父子世帯に寡夫控除を認めれば,上記の要請は十分に満たされるものと考えられ,それ以上の収入のある寡夫について,かかる措置を認める必要性は乏しいというべきである。

3 このような寡夫控除の所得制限は,寡婦控除との間に一定の差異をもたらすものではあるが,これは,寡夫控除についての措置を上記必要な範囲に限定した結果に伴うものにすぎず,かかる相違をもって,寡夫寡婦との間に不合理な差別があるということはできない。

4 また,既に述べたとおり,寡夫控除における所得制限(所得500万円)を超えた父子世帯と母子世帯においても,租税負担能力の違いあるいは生活関係の差異等が存在する。

 さらに,母子世帯は,父子世帯と比較して,親や兄弟姉妹との同居率が低く,そのために母子世帯においては,他の世帯構成員がいないために,寡婦となった母親がより多くの時間を育児等に要することとなる可能性が高いこと等の生活関係上の相違も存在する(乙15)。

 これら父子世帯と母子世帯の相違を前提とすれば,寡夫控除における所得制限を越えた母子世帯について,寡婦控除を適用することが不適切ということもできない。

 さらに,給与収入を前提とした場合に700万円以上の収入を得る母子世帯の割合が,甲22号証によって母子世帯全体の1.85パーセントと少数にとどまることから,課税手続の合理化あるいは簡素化の見地からしても,寡夫控除における所得制限を超えた所得のある母子世帯について,寡婦控除の適用を否定する理由は認められない。

 以上のとおり,寡夫控除については税制状況を考慮した上で必要な範囲の寡夫について適用されていることは明らかであって,寡夫控除における所得制限を超えた寡夫について同控除の適用をする必要性がないこと,これが寡婦との間での不合理な差別ということはできないこと等から,控訴人の主張に理由はなく,本件控訴は速やかに棄却されるべきである。

 

以上