対所得税法 2回目の訴状
記録という事でアップしますが、
たぶん、読んでも面白くないです。
頂いた事件番号は
令和元年(行ウ)236号です。
担当は51民事部です。
収 入 訴 状
印 紙
( ○○円)
令和元年5月8日
東京地方裁判所 御中
〒○○○-○○○○ 神奈川県川崎市○○○
原 告 sakurahappy
電 話 044-○○○-○○○○
被 告 国 代表者 法務大臣 山下 貴司
更正処分取消等請求事件
訴訟物の価額 ○○○円
ちょう用印紙額 ○○○円
第1 請求の趣旨
1 川崎北税務署長が平成30年3月27日付けで原告にした次の各処分をいずれも取消す。
- 平成24年度分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- 平成25年度分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
- 平成27年度分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分
2 川崎北税務署長が平成30年4月25日付けで原告にした平成28年分及び平成29年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分を取消す。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
第2 請求の原因
1 平成24年度分所得税の確定申告,及び更正処分等について
原告は,平成29年12月28日に,川崎北税務署において寡夫控除を適用して平成24年度分所得税の確定申告をした。
川崎北税務署長は,平成30年3月28日付けで原告に対し所得が500万円を超えているため寡夫控除は適用できないとし,更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をした。
2 平成25年度分所得税及び復興特別所得税の確定申告,及び更正処分等について
原告は,平成29年12月28日に,川崎北税務署において寡夫控除を適用して平成25年度分所得税及び特別復興所得税の確定申告をした。
川崎北税務署長は,平成30年3月28日付けで原告に対し所得が500万円を超えているため寡夫控除は適用できないとし,更正処分と過少申告加算税の賦課決定をした。
3 平成26年度分所得税及び特別復興所得税の確定申告,及び更正処分等について
原告は,平成29年12月28日に,川崎北税務署において寡夫控除を適用して平成26年度分所得税及び特別復興所得税の確定申告をした。
川崎北税務署長は,平成30年3月28日付けで原告に対し所得が500万円を超えているため寡夫控除は適用できないとし,更正処分と過少申告加算税の賦課決定をした。
4 平成27年度分の更正の請求,及び更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分等について
原告は,平成29年12月28日に,川崎北税務署において寡夫控除を適用して平成27年度分所得税及び特別復興所得税の確定申告に対する更正の請求をした。
川崎北税務署長は,平成30年3月28日付けで原告に対し所得が500万円を超えているため寡夫控除は適用できないとし,更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分をした。
5 平成28年度分の更正の請求,及び更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分等について
原告は,平成30年3月16日に,川崎北税務署において寡夫控除を適用して平成28年度分所得税及び特別復興所得税の確定申告に対する更正の請求をした。
川崎北税務署長は,平成30年4月25日付けで原告に対し所得が500万円を超えているため寡夫控除は適用できないとし,更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分をした。
6 平成29年度分の更正の請求,及び更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分等について
原告は,平成29年12月28日に,川崎北税務署において寡夫控除を適用して平成28年度分所得税及び特別復興所得税の確定申告に対する更正の請求をした。
川崎北税務署長は,平成30年3月28日付けで原告に対し所得が500万円を超えているため寡夫控除は適用できないとし,更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分をした。
7 審査請求の棄却裁決
原告は平成30年5月24日に上記の各処分が不服であるとして国税不服審判所に審査請求を行ったが,国税不服審判所は平成30年11月13日付で棄却裁決をし,裁決書謄本を11月16日に郵送した。(甲第1号証)
原告はなお原処分に不服があるので,本日提訴するに至った。
所得税法第81条に寡婦や寡夫である場合には所得から27万円を控除することが記されている。その寡婦や寡婦の定義については,所得税法第2条に定義されており,寡婦と寡夫で要件が異なっている。
所得税法第2条抜粋
(定義)
第2条 この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
30 寡婦 次に掲げる者をいう。
イ 夫と死別し,若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち,扶養親族その他その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有するもの
ロ イに掲げる者のほか,夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち,第70条(純損失の繰越控除)及び第71条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第22条(課税標準)に規定する総所得金額,退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において「合計所得金額」という。)が500万円以下であるもの
31 寡夫
妻と死別し,若しくは妻と離婚した後婚姻をしていない者又は妻の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち,その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有し,かつ,合計所得金額が500万円以下であるものをいう。
所得税法第81条
第81条 居住者が寡婦又は寡夫である場合には,その者のその年分の総所得
金額,退職所得金額又は山林所得金額から27万円を控除する。
9 所得500万円を超える母子世帯の母と父子世帯の父で法的取扱いが違うこと
所得税法第2条の定義によると,ひとり親世帯の中で,母子世帯の母親には所得要件はないが,父子世帯の父親には所得要件がある。そのため所得が500万円を超える母子世帯の母は寡婦として定義され27万円の所得控除を受けられるが,所得が500万円を超える父子世帯の父は寡夫として扱われず,27万円の所得控除は受けられない。
つまり所得が500万円を超える母子世帯の母に比べ,所得が500万円を超える父子世帯の父は,同じ所得であっても所得税と復興特別所得税の負担が大きくなっている。
10 父子世帯の父親にのみ所得要件があるのは不合理な差別であること
寡夫控除は,租税法と憲法14条1項の関係が確立する昭和55年(行ツ)第15号(昭和60年3月27日判決)の前に、寡婦控除に準じて昭和56年に父子世帯に配慮することを目的に創設されたものである。
寡婦控除には母子世帯の母親を対象とした控除があるが,母子世帯の母親には所得要件がなく,父子世帯の父親を対象とした寡夫控除には所得要件が設置されている。
この要件の差異によって,500万円を超える所得の母子世帯の母親と500万円を超える所得の父子世帯の父親では,同一所得でも課税額が異なることになる。
この法的取扱いの区別の理由は,寡夫控除立法当時の資料(甲2号証)によると,係累のないものや係累があっても父母のような場合は寡夫控除適用の必要はないとされ,父子世帯に適用するにしても厳しい財政事情を理由に,寡婦に認められている措置を必要な範囲内で男性にも及ぼすとしており,当時の財政事情が理由であって,この両者自身の租税負担能力の差異などによるものではない。
寡夫控除の要件の差異は,ひとり親世帯の事実上の差異に相応して法的取扱いを区別しているわけではなく,国家財政上の事情によるものであり,寡夫控除に所得要件を設置し,税収減を防止することは,昭和55年(行ツ)第15号によって確立した違憲判断基準にあてはめると違憲である。
また統計上からも,500万円を超える所得の母子世帯の母親と父子世帯の父親には,平均収入額,子の平均人数,末子の平均年齢,就業状況等の比較では,両者は同等であり,父子世帯の父親の租税負担能力が高いということはできないのが事実である(甲3号証)。尚,統計資料の扱いとして,所得500万円は,給与所得控除を考慮すると,給与収入688万8889円に相当するので,近似する700万円を境界に統計情報を集計している。
また,父子世帯のほうの死別が多かったり,離婚した配偶者から受け取る養育費も父子家庭のほうが少なかったりするなど,母子世帯を優遇し父子世帯を冷遇する理由はなく,寡夫控除の所得要件は,憲法14条1項に違反し,無効と言えるので,500万円を超える所得のあった原告にも寡夫控除が適用されるべきである。
11 よって,平成24年度分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分,平成25年度分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分,平成27年度分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分,平成28年分及び平成29年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分を取り消すとの判決を求める。
以上