フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



控訴人準備書面(8)

先方が、私の主張の足りないところを指摘してくれたので、反論の形で、主張を追加しました。ありがとうございます。

 

 

 

平成30年(行コ)第250号 課税処分取消請求控訴事件

控訴人  sakurahappy

被控訴人 川 崎 市

 

東京高等裁判所第9民事部A2係 御中

 

          控訴人  準  備  書  面 (8)

 

                         令和元年7月10日

              

                            控訴人 sakurahappy         印

 

 控訴人は,当準備書面にて被控訴人準備書面(5)11ページ11行目の『なお,控訴人が,全ての父子世帯の父親に寡夫控除を認めるように主張するのであれば,「財源面での制約を考慮する必要がないこと」についても,立証しなければならないところ,そういった主張はこれまで一切されていない』との主張に対して反論する。

 

 まず,寡夫控除創設時点から現在に至るまで,毎年10兆円以上の所得税の税収がありながら,憲法14条に反して一方の性別のみに偏った税負担を課してまでも,寡夫控除の所得要件による税収の確保が,必要不可欠であるとは,所得要件の設置による税収減抑止効果が数億円であることからしても,考え難いといえる。特に本件処分時点については,財政事情が逼迫していたという状態にはない。

 次に,控訴人準備書面(6)12頁の下から4行目で述べたとおり,国は平成11年に3.3兆円規模の定率減税を実施していることから,少なくとも平成11年時点では財政事情が逼迫していたとはいえず,財源面での制約を考慮するという目的で,数億円の税収減を抑止するための寡夫控除の所得要件は,その設置目的を失っていたといえる。

 つまり,寡夫控除制度創設当時の財政事情が逼迫していたという状況を,時の経過によって脱したのであれば,財源面の制約を考慮するものとして設置された所得要件には,設置し続ける理由が存在しない。

 となると,不合理な性差別の是正手段として,寡夫控除の所得要件を廃する方法以外に,母子世帯の母親にも所得要件を設置する方法等が考えられるとしても,本来,母子世帯のための寡婦控除も父子世帯の寡夫控除も,所得の多少によらず,通常より出費が多くなるという事情を考慮するものなのだから,数億円の税収減抑止効果が必須といえない状況では,母子世帯の母親に所得要件を設置する理由はなく,不合理な性差別を解消するには,寡夫控除の所得要件を廃するべきといえる。

 

最後に繰り返しの主張となるが,財源面の制約は,水平的公平負担の原則を遵守した上で考慮されるべきであり,本来同等であるべき納税者を,国民各自の事実上の差異ではなく,財政事情の理由で区別することは,憲法第14条1項に反し,許されるものではない。

つまり,租税立法は,公平負担原則を遵守することと,財源面について考慮することは両立されるべきものであるのだから,財源面の制約を考慮する必要があるという前提によって,結果的に公平な負担が実現できないとする被控訴人の主張は,租税の公平負担原則を無視した主張に他ならない。

 

以上