フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



大蔵委員会議録(2)

(つづき)

国務大臣
 大変むずかしい問題です。未亡人に対して寡婦控除があって、男やもめに対しては控除がない、これはおかしいじゃないか、こういうご意見ですね。それは私は非常に不公平に扱うということでなしに、世の中で労働をやって生活をしていくことについては、先ほど最初に私が申し上げたとおり、女性よりも男性の方が頭は別にどうと言うておりませんが、体力が非常に労働に強いというようなことから考えますとご主人を失った女性に対しましては、やはり女性も食べていかなければなりませんが、働かねばならないというような場合に、未亡人なるがゆえにこの控除をする必要が、あるいは男やもめよりは必要性が多いんじゃないかというようなことが考えられて、そして現行の制度が行われておるのじゃないか、これは単なる私の考えに過ぎませんけれども、ここらのところにつきましては専門家からお答えをさせていただきたいと思います。

只松委員
 それも大変御認識の違いといいますか誤りでありまして、たまたま私はこの問題を、私の友人が病院に入っておりましたので見舞いに行きましてこういう話はしたのですが、それには実はちょうどいい手紙が来ている。これを見たらどうだというのです。これはある新聞社の方が私のところの県議会員にあてた手紙です。これはプライバシーに関わりますから必要な面だけを読みます。「○○君の抱えている最大の問題点は、現在妻君は別居しており」中略「炊事、洗たく、掃除はお手伝いを雇って近所のおばあちゃんがやっていますが、子供たちにとって母親が別居しているという事実は穏やかではありません。」ここにありますように、くつ下と女性は強いと言われて、女性の別居なり蒸発というのは非常に多い。後に数字その他列挙いたしますけれども、そういう事態を考えると、女性も職場で働くようになった。これは当然のことです。そうしてまいりますと、別居というのは、これは新聞や週刊誌によりますと、大蔵官僚は余りにも徹夜が多くて、大蔵官僚の中には離婚が多い、こういうことも盛んに書かれておりますね。こういうことを考えましても、法のもとに男女平等であるならば、こういう社会の実態に即応する法というものを改めていく、あるいは前進させていくということは当然だと思うのです。
 そこで寡婦あるいは寡夫がどのくらいあるかといいますと、詳細に各年齢別にいくと大変時間がかかりますが、男性で59歳までで19万9300人が死別、離別で31万3200人、64歳まででとりますと死別が30万6500人、離別で34万1900人、総計いたしまして男子の死別106万9300人、それから離別が38万4400人、これだけあるわけであります。これは昭和50年度の国勢調査からの推計です。相当膨大なものです。女性の場合はもっと多くて、死別が552万6700人、離別が91万2800人、これだけあるわけです。その中で寡婦控除対象者とうのはぐっと低くなってくるわけですが、とにかく男子の方が再婚する率が多いといいますか、いろいろなことで少なくはなってきております。しかしなおかつやはり150万近い死別、離別者、男やもめというのがある。そしてさっき私がほんの一例を読み上げましたように、家庭内に女の人がいなくなると、お手伝いさんを雇ったりなにしたり大変な目に遭うし、大変な費用がかかっておるということは、私が言わぬでもご想像だけでもおわかりだと思う。そういうことになれば物事が平等ならば、男にも寡婦控除というものが適用される。これは当然だと思うわけでございます。そういう実態の中で寡婦控除が一体どのくらい適用されておるか、ひとつ当局からご説明をいただきたい。

大倉政府委員
 これは昭和52年度予算ベースでございますが、現行法によります寡婦控除の控除対象人員は38万人というように推計いたしております。

只松委員
 38万人で、寡婦控除の金額、階層別も私は大体いただいておりますが、およそ金額は幾らになりますか。

大倉政府委員
 38万人を基礎にいたしまして一人当たり控除額を掛け合わせまして、さらに上積み税率を推定いたしますと、減収額としては120億円程度ではないかという推計をいたしております。

只松委員
 約640万人からの中で寡婦控除適用者が38万人、そして金額にして120億円。男性の場合は全体で140万人前後でございます。ただ男性の場合は働いている人が多いだろうと思いますので、女性の場合はこれは寡婦控除適用者が17.9%、これに相当するわけです。男性は大体どのくらいあるとお考えになりますか。

大倉政府委員
 実は先ほど来御指摘の御数字は国勢調査の方から正確におとりいただいた数字だと承知いたしましたが、この方々が一体課税最低限の上下にどう分布しているだろうかということは申し訳有りませんがちょっといままで調べたことはございませんので、少し時間をいただきましてある程度のサンプル調査でもいたしてみたいと思います。女の方の場合よりは課税最低限の上におられる方の比率がかなり多いであろうということは申せるように思いますが、どの程度かというのはちょっと時間をいただきまして何らかの方法で調べてみたいと思います。

只松委員
 これも国勢調査の死別者、離別者の人口配分から見まして私は適用者が大体30%前後ではないかと思います。女性で17.9%、20%足らずですから倍までいっても30%前後だと思います。私はこれをたまたま試算してみてくれないかということであなたたちの方に試算をしてもらったのです。これは50%で試算された。50%で試算してきた場合に33万人ぐらいになるわけですね。一人当たり23万円、その場合減収額が110億円、こういう形になる。私はしかし50%ない、大体30%前後だと思う。ぐっと下がってきますよ。したがって金額にしても私はそれほどのことではないと思うのです。いま一銭でも欲しい大蔵当局としてはこういう減収になるものを現段階であえてするということはなかなか容易ではないだろうと思いますけれども、私は税の一般論でも多少やりますがこういうふうに明確に、これはたまたま男性・・・先ほど男が少し強くないかと大臣おっしゃったけれども、強いと思われている面の男性に対する不公平であるからこれだけ明確にあってもいまみたいな答弁に終始される。これが弱くは決してないと思いますが、弱いと言われている女性の場合にこれだけ明確な不公平な税制があれば大きな社会問題になってくる。しかし決して私はいま男性は必ずしも強くなくて、さっき読み上げましたように離別されたりあるいは別居されたり蒸発されたりしておる家庭の男性というのは非常に困っている。当然に私は寡婦控除を適用すべきだ、こういうふうに思います。
 その前に世界で大体寡婦控除を適用していない国があるかどうか、どうです大臣。これはよっぽど特殊の国を除いて全部しておるのですから、ありますか、どうです。

 

(つづきます)