遺族年金の判例を読む
遺族基礎年金が法改正前に妻を亡くした配偶者に支給されないことについて、三重県の父子家庭の男性が訴えていた裁判では、原告が敗訴しています。
この判決文を息子に頼んで取ってきてもらいました。
遺族基礎年金不支給処分取消等請求事件
平成29年6月15日民事部判決
性別による差別ですが、合理性の基準で審査していますね。法改正前でも合理性があることを裁判所は認めています。
憲法14条というより25条のほうに重点がおかれ、国による社会保障の裁量権が認められた形に見えました。裁判所時報1672号3頁ですね。憲法25条の生存権に絡む社会保障についてはとことん立法裁量を認め、よっぽどの差別がない限り憲法14条違反にはしないってやつです。
本人訴訟ではなく、弁護士さんがついた訴訟で私などが考えるよりはるかにしっかりとした主張がされていますが、それでも、男女の就業状況の差を持ち出して、区別に合理性があるとした被告の主張を崩すことはできませんでした。
裁判所はぶれないですね。というか立法府の裁量を認め過ぎではないでしようか。三権分立が機能していないのではないかと、ちょっとだけ感じました。