フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



控訴理由書(2)

高裁に提出した控訴理由書です。全部で6章ありますので、今回は2章をUPします。

 

第2 平均収入額の差異が審理されていないことについて

 

(1)原審では,所得が500万円を超える母子世帯の母親と,所得が500万円を超える父子世帯の父親との間には,平均収入額に相当な差異があることを根拠にし,所得要件の差異に合理的な理由があるとしている。しかし,被控訴人は,全体的な平均収入額の差異については主張しているものの,500万円を超えるひとり親世帯に限った場合でも,平均収入額に相当な差異があるという点を,口頭弁論で主張していない。

(2)弁論主義に基づくならば,原則的に当事者の主張していない事実は判決の基礎にできないが,公益性のある行政事件であるため,平均収入額の差異を,被控訴人に代わって裁判所が斟酌したものと解される。しかし,口頭弁論において,500万円を超えるひとり親世帯の平均収入額の差異についての主張はなく,審理されていないので,当然ながら控訴人には,この点について反論する機会が与えられていない。

(3)なお,500万円を超えるひとり親世帯の平均収入額の差異の事実認定は,平成24年就業構造基本調査の結果(甲12号)から推認されたものであるが,甲12号は正規職員・従業員の収入を示すデータの抜粋であり,ひとり親世帯の平均収入額の差異を立証するには適切ではない。

(4)また,総務庁統計局は,平成24年就業構造基本調査の結果として,ひとり親世帯の収入階級別のデータを公開している。そのデータを調査することにより,500万円を超えるひとり親世帯の平均収入額の差異を明らかにすることが可能となっており,そのほうが甲12号から推認するより直接的で正確である。

(5)ゆえに,裁判所は甲12号から推認するのではなく,口頭弁論で当事者に確認したり,職権でもって集計データを証拠調べしたりするなど,所得500万円を超えるひとり親世帯の平均収入額の差異を明らかにするべきであって,事実が不確かなまま,控訴人に反論する機会もなく,弁論を終結させた原審は,明らかに審理不尽である。