フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



審査請求ノススメ

審査請求は、国民の権利でリスクがほぼゼロ!(リターンもほぼゼロだけど)


国が決めたことに文句がある場合に、裁判所に訴えるという方法があります。
しかし、裁判をやってみて分かったのですが、素人がやるにはハードルが高いです。
法律について勉強しなければなりませんし、お金と時間がかかります。
お金については、解消したい不利益の額によりますが、仮に損害賠償として1円請求する場合、最低でも訴状に貼り付ける1000円の収入印紙や7000円ぐらいの郵券の納付が必要で、最高裁まで争うとこれだけで3万円近くになります。これは何もかも自分でやった場合で、もし弁護士さんに委任するとなれば、桁違い(50万円とか100万円とか)の弁護士料が必要になります。
訴状や準備書面と呼ばれる文書を作成するのも結構しんどいものがありますし、そもそも裁判で国に勝つのは至難の業です。
しかも訴えるためには前提条件があって、そこをクリアしないと門前払い(却下判決)をくらいます。(私もくらいました。)

その前提条件の1つに、「審査請求」をしていることというのがあります。数年前まで「不服申し立て」と言っていたもので、納得できない行政処分に文句をいうものです。行政処分というのは、税額の決定とか手当などの支給額の通知とかのことですね。

 

で、この審査請求ってやつなんですが、恐ろしくハードルが低いんです。
審査請求をするのに弁護士は要りません。審査請求書というのを書いて提出するのですが、書式も決まっていてA4用紙2枚程度です。審査請求をする理由が法的に整っていなくとも大丈夫です。理由を書く欄も数行分しかありません。その審査請求書を役所(所得税なら国税不服審判所)の担当者が受け取って、きちんとした主張に整えてくれます。扱いも丁寧で、こちらの主張をかっこいい文書で整理してくれるし、国側にも答弁書を求めて半年から1年ぐらいかけて審査をして結論を出してくれます。
国や市側もきちんとした答弁書をだしてきて、そのコピーが請求人にも送られてくるのですが、内容に手抜きがありません。ちゃんと書留で送ってくれます。最終的にはほとんど棄却されるのですが、その審査に要する行政側の労力は計り知れません。内容によっては審査請求の裁決を第三者の諮問委員会に意見を聞くこともできます。私の感覚ですが、1件の審査請求を処理するのに行政側のコストは100万円を超えていると思います。そんな審査請求にかかる費用ですが、コピーを取ったり役所に出向く交通費なんてのはあるかもしれませんが、基本的にゼロなんです。

社会の制度の不満に対して、署名を集めて政治家に嘆願するとか、SNSで叫び続けるというのも方法としてはありですが、せっかく国が用意してくれているのですから審査請求という制度を制度改善の方法のひとつとして利用してはいかがでしょうか。棄却されたとしても審査請求で上がった声が届いて法律の改正に動くことがあるかもしれません。ちなみに審査請求の結果を受けて裁判所に訴えるかどうかは自由です。


(以下はつぶやき)
仮にある制度によって不利益を被り不満を持った人が10万人いたとして、そのうち1万人が審査請求を提起したとしたら、行政の処理能力を超えるだろうからパニックになるだろうなぁ。なので「みんなで審査請求しようぜ!」なんて扇動はしないでくださいね。