フレンチトースト訴訟

父ちゃん大法廷に立つ(計画)



対所得税 原告準備書面(2)

司法救済について主張しました。

 

 

令和元年(行ウ)第236号 更正処分取消等請求事件

原 告  sakurahappy

被 告  国(処分をした行政庁:川崎北税務署長)

 

東京地方裁判所民事第51部1C係 御中

 

原告  準  備  書  面 (2)

令和元年12月13日

              

原告 sakurahappy         印

 

 原告は,当準備書面にて不合理な差別によって被った不利益の解消方法について追加の主張をする。

 

第1 国籍法違憲判決による判示

平成19年(行ツ)第164号同20年6月4日最高裁判所大法廷判決民集62巻6号1367頁(いわゆる国籍法違憲判決)では,国籍法3条1項の規定が生じさせている区別が憲法14条1項に違反するとし,その救済について以下のように判示している。

 

[判例の引用、ここでは省略]

 

判示によると,国籍法3条1項の過剰な要件によって不合理な差別が生じていることに対する是正手段として、同項を全体として無効とすることなく,過剰な要件を設けることにより本件区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈することとしている。

 

第2 本件区別の解消方法

本件区別は,所得税法2条31項の寡夫の定義に規定された所得要件の部分(下線部)によって生じている。

 

所得税法2条31項(寡夫の定義)

妻と死別し,若しくは妻と離婚した後婚姻をしていない者又は妻の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有し,かつ,合計所得金額が五百万円以下であるものをいう。

 

この規定が憲法14条1項に違反するからといって,同項全てを無効にすることは,同81条で規定された寡婦寡夫)控除の対象者が不明となり,本件区別による違憲状態の解消にはならない。

所得税法第81条 

1 居住者が寡婦又は寡夫である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から二十七万円を控除する。

2 前項の規定による控除は、寡婦寡夫)控除という。

不平等を解消する観点からすると単親母に所得要件を付ける方法も考えられる。単親父に所得要件を設けたのは男性を区別し冷遇するためであったことからすると,単親母にも所得要件を設けて不平等を解消するという方法は,平等の名の下に子の養育を支援する部分を奪うもので正当性はないが,仮にその方法で不平等を解消しようとするならば,それは離死別した後に子を養育するにあたって通常よりも出費が多くなることを考慮するための制度を設けた同法の趣旨を没却するものであり,高所得の単親母に特別な出費が発生しないことが明らかでない以上,単親母に所得要件を設けることは,立法者の合理的意思として想定し難いものであって,採り得ない解釈であるといわざるを得ない。そうすると,高所得の単親母には寡婦控除の適用を認めることを前提として,本件区別により不合理な差別的取扱いを受けている者の救済を図り,本件区別による違憲の状態を是正する必要があることになる。

このような見地に立って是正の方法を検討すると,憲法14条1項に基づく平等取扱いの要請と,寡婦寡夫)控除が特別な出費を考慮するために設けられた制度であることを踏まえれば,高所得単親父についても,寡婦控除と同等の控除を等しく及ぼすほかはない。すなわち,高所得単親父についても,合計所得金額が500万円以下という部分を除いた同項所定の要件が満たされる場合に,寡夫として認められるものとすることによって,同項及び同法の合憲的で合理的な解釈が可能となるものということができ,この解釈は,本件区別による不合理な差別的取扱いを受けている者に対して直接的な救済のみちを開くという観点からも,相当性を有するものというべきである。そして,上記の解釈は,本件区別に係る違憲の瑕疵を是正するため,所得税法2条31項につき,同項を全体として無効とすることなく,過剰な要件を設けることにより本件区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈したものであって,その結果も,高所得単親母と同様の要件による控除を認めるにとどまるものである。この解釈は,ひとり親には特別な出費が多いことを考慮するとした同項の規定の趣旨及び目的に沿うものであり,この解釈をもって,裁判所が法律にない新たな寡夫控除適用の要件を創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されないと評価することは,寡婦寡夫)控除適用の要件に関する他の立法上の合理的な選択肢の存在の可能性を考慮したとしても,当を得ないものというべきである。したがって,高所得単親父は,合計所得金額500万円以下という部分を除いた所得税法2条31項所定の要件が満たされるときは,同項に基づいて寡夫として控除が認められるというべきである。

 

第3 結語

以上のとおり,所得税法2条31項の寡夫の定義に規定された所得要件は,違憲状態を是正するために無効とされるべきであり,所得要件以外の要件を満たした原告は寡夫控除が適用されるべきであるので,寡夫控除を適用しないとして原告に行われた本件各処分はすみやかに取り消されるべきである。

以上