合憲性の推定
法律というのは、選挙によって選ばれた人による国会で作られるものなので、違憲性のある法律は作られないだろうという、という考え方があります。
寡婦控除が差別だとして、国会で審議されて、寡夫控除ができました。
私はそれでも違憲だと訴えているわけで、ある意味では、合憲性の推定に異を唱えていることになります。
よく見かける意見としてあるのが、「寡婦寡夫控除の制度が時代に合わなくなってきている。」というものですが、私は最初から違憲状態であり、国会審議でも解消できなかった差別と思っています。
この辺りの国会の答弁を議事録から調べましたが、寡夫控除を認めると税収がいくら減収になる見込みだとかいう議論(私の見た議事録では20億円の減収見込み)もされており、落とし所として男性にも部分的に認めることになったというのが本当のところではないかと思います。実際、厚生省の最初の要求では所得要件はなかったものが、大蔵省によって所得要件を付けられたことになっています。
正直に「母子家庭と父子家庭を同じ扱いにすると税収が減ってしまうという事情があるので父子家庭には所得要件をつけた寡夫控除を新設したのです。」と被告が答弁してくれたら、裁判所も判断しやすいでしょうね。
そこまで踏み込んだ議事録があれば、証拠として提出できるのになぁ。
国税不服審査の裁決要旨事例
国税不服審査所で過去の裁決要旨を検索できます。
20年前の事例になりますが、大阪で不服申し立てをし棄却された事例があります。
でも、これ、裁判にはなっていないようです。
支部名 | 大阪 | 裁決番号 | 平090072 | 裁決年月日 | 平100312 | 裁決結果 | 棄却 |
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争点番号 | 101112050 | 争点 | 11不服審査/12調査審理の範囲/5違憲審査等 | ||||
事例集登載頁 | 裁決事例集には登載しておりません | ||||||
裁決要旨 |
○ 請求人は、性別によって所得税法上の所得控除(寡夫控除)の適用要件が異なるのは日本国憲法第14条第1項に規定する「法の下の平等」に反する旨主張するが、当審判所は、税務署長等が行った処分が国税に関する法令に違反する違法、不当な処分であるか否かを判断する行政機関であってその処分の基となった法令の合理性や法令自体の合憲又は違憲を判断する権限を有するものではないから、請求人の主張については当審判所の審理の限りではない。(平10. 3.12大裁 (所) 平 9-72) |
なんで裁決事例集に登載してないんでしょうね。
還付請求と更正の請求
寡夫控除を付けて還付金の請求をするのに、例えば平成26年度分は確定申告していないので確定申告の形で還付金の請求をしました。ところが給与以外の収入があって確定申告した年は、一度確定申告しているので、更正の請求ということで還付金の請求をしました。
この二つは同じように見えますが、過少申告加算税が課せられるのは還付請求のほうだけです。更正の請求には過少申告加算税は課せられません。
不勉強でした。
確定申告するときに寡夫控除を付けたら制裁されます。なので、医療費控除やふるさと納税などで一旦確定申告をし、その後で寡夫控除を付けた更正の請求をするのがいいです。
そうすると過少申告加算税はかかってきません。一緒にやったらいけません。制裁されます。
知らなかったばかりに、15,000円を請求されちゃいました。嗚呼。
「過少申告加算税を払え」ときた
税務署から「修正申告書の提出について」という文書が届きました。
訴訟のための行政処分が欲しくて、寡夫控除を付けて確定申告したわけですが、当然ながら「合計所得金額が500万円を超えているため、寡夫控除は適用できません。」という理由で修正申告書を提出しなさいというお願いがきました。修正申告書は税務署のほうでご丁寧に作ってあって、返送するだけで済むようになっています。で、これに応じない場合は更正の処分がされることになります。勿論これに応じてしまったら裁判にできないので、応じることはできません。
求められているのは修正申告書の提出だけではありません。国に逆らった罰として、過少申告加算税の支払いを求められています。1年分につき5,000円です。まずは3年分なので、15,000円になります。痛いです。
これを素直に払う気はありません。なぜなら、寡夫控除要件の合憲性を司法判断してもらうためにはやむをえないものなので、国税通則法第65条4項に記された正当な理由による免除を主張したいと思います。ちなみにこの正当な理由というのはほとんど認められることがないので、望みはほぼないと思っています。
本税の訴訟で勝てば過少申告の理由がなくなるので免除されるのは間違いないでしょうから、訴訟費用の一部として考えましょう。
特定求職者雇用開発助成金
いろいろ調べていたら、タイトルの制度に父子家庭差別が存在することがわかりました。
これは雇用主が助成金を受ける制度で、障がい者等を雇用したりするとお金がもらえるというようなものです。この中に、シングルマザーもシングルファザーも含まれていますが、シングルファザーの場合は児童扶養手当の受給者であるという要件があり、差別されています。
つまり中高所得のシングルマザーを雇った雇用主は50万円(かな?)の助成金をもらえますが、中高所得のシングルファザーを雇っても助成金はもらえないということです。
でもこの差別、シングルファザー自身が訴えることはできません。なぜなら原告適格の条件である訴えの利益がないからです。
平等にするには、シングルマザーの要件にも児童扶養手当受給者を追加するか、シングルファザーの児童扶養手当要件を無くすかすればいいだけのはなしですが、
まだまだいろいろ歪んでますね。
第2回口頭弁論
2月5日10:30 横浜地方裁判所502号法廷
第2回口頭弁論が開かれました。
昨晩、長男が時間があるから見学に行きたいと言っていましたが、朝、布団から出てこないので、置いてきました。
ちなみに、彼はC大法学部の学生で、私の1番の応援団です。とはいっても法律家になるつもりはないらしいです。
さて、早めに着いたので待合室で30分程ボーっとしてから開廷の5分前に法廷に入りました。
既に書記官さんと、被告さん達がいらっしゃいました。
被告側に弁護士さんを含めて3人、川崎市の関係者(たぶん、被告指定代理人)が傍聴席に3人。
一般の傍聴人はいません。別の法廷で殺人事件の裁判があったので、そちらに集中したんだと思います。
出席表に丸を付けて、被告さんに先日ファックスした準備書面を手渡しました。ん?なんか変です。その時ははっきりわかりませんでしたが、ちょっと違和感を感じました。
10:30 開廷です。
書記官「起立、平成29年(行ウ)第51号」
裁判長「原告から1月4日に準備書面1が、2月2日に準備書面2がでています。これを陳述しますか?」
私「はい」
裁判長「被告からは準備書面1がでています。これを陳述しますか?」
向かって1番左の人「はい」
裁判長「被告はどうしますか?」
向かって1番左の人「反論します。」
裁判長「いつまでにできますか?」
向かって1番左の人「次回を3月19日にしていただけるなら、3月12日に用意できます。」
裁判長「原告はいかがですか?」
私「受けられます。」
裁判長「それでは次回は3月19日の11:15にします。それから、甲9号証ですが、2枚目は証拠ではなく証拠説明書ということでいいですか?証拠としたいなら云々。」
私「証拠説明書です。」
裁判長「では以上です。次回は〜。」
甲9号証のくだりは、証拠の解説を証拠として出してしまった為に改められたのです。
それはいいとして、違和感の正体がわかりました。被告人席にいる3人の座る場所が、前回と違うのです。
前回、被告人席の向かって左側に座っていたのは、訴訟代理人の弁護士さんだったと思います。今回、その弁護士さんは2番目の席に移り、代わって1番左にきたのは川崎市の税務部の役人さんです。
席が代わっただけではありません。前回、被告の代表として発言していた弁護士さんは、今回一言も発することなく、全て川崎市の役人さんが発していました。
ここからは私の想像です。
今までは訴訟代理人である弁護士さんが主導で進めてきましたが、対応方針で揉めたか、あるいはこのままでは危うい、ということで川崎市の税務部が主導することになったのではないでしょうか。となると主張方針がガラッと転換されるかもしれません。
席の交代は、被告側の劣勢を表すものとして自分の勇気に変えましょう。でも相手が投了するまで過信することなく、冷静に慎重に闘いましょう。どんな主張が来ても、必ず打ち返せる!そう信じて、3月12日を待ちましょう。
どんと来い!